皆さんこんにちは、たたらです。
今回は「Physiological barrier」と「Anatomical barrier」について解説していきたいと思います。
正常な最終可動域(Neutral barrier)
たたら
①Physiological barrier
「Physiological barrier」は、患者の随意筋の活動(Active physiological movement)により遂行され、関節可動域コントロール、筋力、意志の複合として運動した最終可動域のことです。
②Anatomical barrier
「Anatomical barrier」は、患者の安楽した状態で関節可動域範囲内を他動で動かす運動(Passive physiological movement)の最終可動域のことを指します。
※運動の際、Physiological barrierはAnatomical barrierよりも早く生じます。
3つのZone
動作中に感じられる正常のバリアと同様に、可動域中で正常な動作と考えられる3つの「Zone」が存在します。それが、「Neutral Zone」「Elastic Zone」「Plastic Zone」です。
(David J. Magee et al., Scientific Foundations and Principles of Practice in Musculoskeletal Rehabilitation, SAUNDERS, 2007.)
Neutral Zone
「Neutral Zone」は、組織の内側での抵抗が全くない範囲。Neutral Zoneは関節の安静肢位にて可動域の開始位に当たります。緊張がある場合、非常に早い範囲で開始し、この抵抗は第1バリアや動きの制限感を示しています。これを「Crimp Barrier」と言います。
Crimp barrierは加齢、障害、関節の不安定性、関節の変化、筋の機能不全が原因で増加します。また、骨棘形成、筋痙攣、筋短縮、筋肥大、組織の短縮などが原因になります。
※骨棘形成は、本来良い反応で荷重を支えようとするものであるが、場所や大きさなどにより痛みや可動域制限、神経症状などを引き起こす場合があります。
Elastic Zone
「Elastic Zone」は、組織緊張が関節可動域を通して、関節の動きとして増え始める範囲です。この範囲で弾性変形が起こります。
変形力が取り除かれたら、組織内で弾性収縮が起きます。つまり、組織は無負荷状態の「Neutral Zone」に戻ります。
関節構造への損傷、コラーゲンの異常性、モビライゼーションテクニック、筋の長さによって良くも悪くも増加します。逆に、短縮や外科的な融合や修復、筋肥大、拘縮によって減少します。両者ともに一定の範囲を超えると痛み・損傷につながります。
- 増加⇛過可動性(Hypermobility)
- 減少⇛可動域制限(Hypomobility)
Plastic Zone
「Plastic Zone」は、組織の弾性収縮力を超えて、変形を始める範囲です。「Plastic Deformation(繊維組織の損傷)」は一度変形したら元の状態には戻りません。Plastic ZoneはPhysiological barrierを超えた範囲になります。
負荷の力の大きさ、時間の長さ、スピードにより、以下の2つのことが起こります。
- Creep or Plastic Flowが生じる
- Plastic Zoneの中でいくつかの組織がある程度の損傷を生じる
⇛『Plastic Deformation』が生じる
Plastic Deformationは、組織の損傷、コラーゲン組織の異常によって増加し、骨棘形成、外科的処置や修復あるいは拘縮によって減少します。
たたら
Hypomobility(関節可動域制限)
Hypomobilityとは動作機能が低下することです。変わった動きのパターン、制限された関節可動域、組織や関節の腫脹、Joint Playの低下、異常なEnd Feel、筋緊張、拮抗筋の抑制などが原因で機能不全を引き起こした状態です。
Hypermobility(過可動性)
過度の関節可動域を意味します。正常(弛緩)または病的(不安定性)の2種類が存在します。
Laxity(正常)
余分な範囲内の関節の動きをコントロールするための能力がある状態です。
Instability(不安定性)
関節可動域が過剰な上でコントロール能力がない状態です。要因としては、不十分な協調運動、構造を安定させることが出来ない、異常なフォースカップルなどが挙げられます。
HypermobilityとHypomobilityは、近位または同じ関節内ではみられません。関節可動域制限の種類が何の問題に関わらず、治療はHypomobilityを始めに扱います。
関節運動学上、正常な関節ではJoint Playによって修復を示します。その後にHypermobilityを処置するのが一般的です。
たたら
お付き合いありがとうございました!!
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参考文献
David J. Magee et al., Scientific Foundations and Principles of Practice in Musculoskeletal Rehabilitation, SAUNDERS, 2007, p388-91.