【関節運動学】関節運動の基本を徹底解説!【ベクトル】

皆さんこんにちは、たたらです。

解剖学・運動学シリーズ第2段です。今回は関節運動に関してお話していきたいと思います。それでは早速まとめていきましょう!



関節の運動用語

運動1(点の移動)

垂直を保ちながら、前後・左右にあるいは斜めに動かすことが出来ます。→滑動

運動2(表面に対する軸の角度変化)

先端を保ったまま、軸の表面に対する角度が変わります。→角運動

運動3(軸の回転)

軸の角度を変えずに軸が長軸に対して回転します。→回転

Physiological Movement(自動運動)

Physiological Movement(自動運動)は患者の随意筋により遂行され、関節可動域・コントロール・筋力・意思の複合的評価として特別な価値があります。Physiological Movementには2種類存在しており、以下の通りです。

  • Active Physiological Movement ⇛ 筋収縮によって動かす
  • Passive Physiological Movement ⇛ 他動的に動かす

Active Physiological Movementの限界をPhysiological Barrierといい、Passive Physiological Movementの限界をAnatomical Barrierといいます。また、2つのBarrierの差を『Extention Lag』といいます。運動に問題がある方や痛みが生じる方はExtention Lagが大きい場合が多い傾向にあります。

Accessory Movement(副運動)

Accessory Movement(副運動)は、骨運動を伴わないで起こる関節面同士の運動のことです。関節周囲の筋が弛緩し、関節包・靭帯がゆるんで余裕のある状態で、他動的に相互の関節面を平行にずらしたり、離開することが出来ます。

Accessory MonementにはJoint Playも含まれます。Joint Playは関節の遊びのことで、他動運動によってのみ可動性が認められる関節の運動範囲のことです。

①Ⅰ型: 随意運動に抵抗が加わった時におこり、関節の構造的な許容限界まで動く関節の運動

②Ⅱ型: 完全にリラックスした状態で他動運動時にのみおこる関節の離開、滑りなどの運動をいう。

副運動の分類

①離開(Distraction): その関節面から垂直方向に離れる運動

②圧迫(Compression): その関節面から垂直方向に近づける運動

③滑り(Glide): 関節面から平行方向に滑らせる運動

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身体的には骨と骨を結ぶ約200個の関節が存在します。その関節1つ1つには目には見えない小さな空間があります。骨と骨の接触面はピタッと密着しているのではなく、わずか数mm程度の隙間があります。この隙間は関節の動く角度や受ける衝撃などによって変化します。

 

関節包内運動

関節包内運動とは、関節内で関節面間に生じる運動のことを指します。

基本的な運動は以下の3種類です。

①転がり(Roll): 回転する関節面上に並ぶ多数の点が相対する面上の多数の点と接触

②滑り(Slide): 関節面上の1つの点が相対する面上の多数の点と接触

③軸回旋(Spin): 関節面上の1つの点が相対する面上の1つの点上で回転

関節面の形状は平面から曲面まで多岐にわたります。しかし、大多数の関節面は一方が凸、他方が少なくともわずかに凹面になっています。関節の凹凸の関係は適合性を良くし、力が加わる面積を広げ、骨間の動きを誘導することに役立ちます。

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転がりと滑り、軸回旋の関節包内運動を組み合わせた運動
この組み合わせの典型例は膝の屈曲・伸展です大腿骨が脛骨上にある膝伸展時、固定された脛骨に相対して大腿骨は転がりと滑りを行いながら、内包にわずかに回旋します。この関節包内運動は固定された大腿骨に相対して脛骨が伸展する場合でも認められます。誰でも膝関節における軸回旋は、屈曲と伸展時に自動的に生じるものです

関節の自由度

自由度とは、各関節に許された独自の運動方向の数のことです。3次元の空間内を動く関節運動に対応して、運動の自由度は主要なもので3つあります。肩関節は3つの運動面に対応して、3つの角運動の自由度をもちます。ちなみに、手関節は2つ(矢状面・前額面)、肘関節は1つ(矢状面)です。自由度は角運動に加えて『並進』にも適応されます。全ての滑膜性の関節は若干の並進を有します。なぜなら、自動的には筋の、他動的には関節構造の自然な弛緩性が生じるからです(Joint Play)。

※多くの関節では、『並進の量』が関節の健常さを確認するテストとして用いられます。

今回はここまで!

お付き合いありがとうございました!!次回もよろしくお願いします。

参考文献

Donald A. Neumann, カラー版 筋骨格系のキネシオロジー 原著第2版, 医歯薬出版株式会社, 2010.

F.H. Martini et al., カラー人体解剖学 構造と機能: ミクロからマクロまで, 西村書店, 2016.

 

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